世界自閉症啓発デー

毎年4月2日の世界自閉症啓発デー(World Autism Awareness Day)は、自閉症の啓発を目的にカタール王国王妃によって提案され、すべての加盟国の支持を得て2007年の国際連合総会本会議で採択された国際デーです。

4月2日には自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めるために世界各国で様々な啓発活動が行われるほか、世界中のランドマークが「癒し」や「希望」を表すブルーでライトアップされます。

ここ横浜でもブルーライトアップをはじめ、自閉症を正しく理解していただくための取り組みや様々な発信をしています。

世界自閉症啓発デーロゴ

2024年世界自閉症啓発デーの取り組みのご報告

目次

もっと自閉スペクトラム症のことを知ってほしい

自閉スペクトラム症の様々な特性のために生きづらさを感じている人がたくさんいます。しかし、この「生きづらさ」に対して必要な配慮や支援があれば、自閉スペクトラム症の特性を強みとして活かし、仕事や趣味でイキイキとした生活を送ることができるのです。

たとえば「こだわり」の特性も裏を返せば他人の意見に惑わされないということです。一度身につけたことは何年経っても崩さずに正確に取り組むことができるということですし、好きなことを集中して長時間やり続けることができるというプロフェッショナルに通じる一面を持っていると言えるかもしれません。

このページが皆さまにとって自閉スペクトラム症の人たちを理解するきっかけになれば幸いです。

自閉スペクトラム症Q&A ~あなたのまわりにこんな人はいませんか~

ひとりごとを言いながら動き回っている。どうしてかな。

電車の乗換案内や到着時刻のアナウンス、お気に入りのアニメキャラクターのセリフ、キャッチーなCMソング…、自閉症の特性がある人たちは自分の気に入ったフレーズを心の中ではなく実際に声に出してしまうことがあります。それもブツブツというよりはむしろよく通る大きな声で。
このように声に出すことで自分の考えを整理したり、ストレスの高まりを鎮めたり、自閉スペクトラム症の特性であるこだわりの強さからお気に入りのフレーズを繰り返し声に出すことで安心していると考えられています。

ひとりごとを言っている人がいたら「ああ、今この人は自分の中のストレスと向き合っているんだなあ」と理解し、温かく見守っていただけたらうれしいです。

皆さんがついひとりごとを言ってしまう時ってどんな時ですか?
大さじ3杯のしょうゆを計る時?探し物をしている時?

いつもと同じ場所や手順にこだわる。どうしてかな。

自閉スペクトラム症の特性がある人たちは新しいものや出来事に対して強い抵抗や不安を感じることがあります。これまで積み上げてきた「うまくいった記憶」に基づいて行動することがとても安心できるため、慣れ親しんだものやそのやり方にこだわり、変更が難しいことがあります。また、興味の対象が広がりにくい特性があるために、好きなこと以外には無関心だったり同じことをいつまでも繰り返したりします。

周囲の人から見るととても困ってしまう行動ではありますが、その人は「困った人」なのではなく「困っている人」なのです。

急な予定の変更が苦手みたい。どうしてかな。

自閉スペクトラム症の特性がある人たちは急なスケジュールの変更など予定外のことが起こることについてとても大きな不安を感じることがあります。「こうなるだろう」と前もって理解できていた出来事の見通しが崩れてしまうからです。それが原因でパニックを起こすこともあります。

変更や予定外のことが起きそうなときは、できるだけ明確に伝えることが大切です。言葉だけでなく、必要に応じて文字や絵カードを使ってイメージしやすいように伝えます。それでもどうしても予定を変更しなくてはいけない場合は、本人が納得できる十分な時間を取ったうえで、「なぜ変更しなくてはいけないのか」「変更後は何が起こるのか」を「穏やかに」「短く」伝えることが大切です。日ごろから小さな変更の練習を試してみておくのもいいかもしれません。

ぴょんぴょんクルクルしている。どうしてかな。

「ぴょんぴょん」とジャンプをしたり「クルクル」回ったり、その他にも手のひらをかざして「ヒラヒラ」させたり、体を前後に「ユラユラ」ゆすったり。これは様々な外からの刺激に混乱した時に自分自身を落ち着かせるために、また逆に刺激がなさ過ぎて今何をすればよいのかわからず不安になった時などリラックスするために自己刺激行動として感覚遊びをすると言われています。そうしなくてはいられない理由があるのであって、必ずしも「楽しくて」「ふざけて」やっているわけではありません。

もしこのような場面に出会い、ご本人や周囲の人たちに危険がない状況でしたら無理にやめさせず、落ち着くまで温かく見守っていてくれたらありがたいです。

耳をふさぎながら歩いている。どうしてかな。

家の外、家の中にはたくさんの音があふれています。ザワザワとした人混み、赤ちゃんの泣き声、掃除機の音、商業施設のBGMやアナウンス、急に鳴るインターホン、多くの人が気にも留めない音も、聴覚に敏感な人たちにとってはまるで黒板を爪で引っかいたような音のように聞こえてしまったり、たくさんの音の中から必要な音に注意を向けたりすることが苦手なため、苦痛や不安を覚えることがあります。
このような音の刺激をやわらげるために、イヤホンでお気に入りの音楽を聴いたり、一見ヘッドホンに見える「イヤーマフ」を利用している方もいます。

聴覚だけでなく視覚・触覚・味覚・嗅覚といった様々な体の感覚に敏感であったり、逆に鈍感であったりします。これらの感覚がとても鋭く自分に突き刺さる、または正しく感じなかったとしたら、日常生活がどれほど大変だろうかと想像してみてください。

一方的に自分の好きな話をしている。どうしてかな。

一見すると話し上手でその内容はビックリするほど詳しく、専門用語などとても難しい言葉を使いこなすのものの、とにかく一方的に話し続けてしまう人がいます。これも自閉スペクトラム症の特性のひとつです。場面を考えず唐突に話し始めたりするなど、相手が困ってしまうこともあります。

このような行動が人間関係を難しくする原因の一つになっていますが、相手の立場に立って考えることや、その場の雰囲気を読むことが苦手という自閉スペクトラム症の特性によるもので、決して「自分勝手」で「わがまま」なのではないということをご理解いただけたらありがたいです。

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